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虎ノ門パートナーズ法律事務所法律情報遺留分算定の基礎となる財産と持戻免除の意思表示

法律情報

2009.10.22 (2010.4.7改訂)

遺留分算定の基礎となる財産と持戻免除の意思表示

被相続人から特別受益者に対して持戻免除の意思表示(民法903条3項)がなされた場合の遺留分の算定について、民法1030条の要件を満たす場合に限って遺留分算定の基礎とするべきであるとする説と民法1030条の制限なく遺留分算定の基礎とするべきであるとする説とがあります。

この点に関して、判示した最高裁判決は見当たりませんが、大阪高裁平成11年6月8日判決は、後者の説を採用し、「民法903条3項は、持戻免除の意思表示が遺留分規定に反しない範囲内でその効力を有する旨を規定している。しかし、これを準用し遺留分算定の基礎財産の算出を行う場合に、贈与の価額の持戻しをした場合の遺留分と、持戻免除を認め持戻しをしない場合の遺留分とを比較すれば、必ず前者が後者を上回り、遺留分の額を定める民法1028条に反することは明らかである。また、そもそも、遺留分の規定は被相続人の処分の自由を制限するものであるし、遺留分算定のために持戻しを行うのに、これを行わない場合の遺留分に反しないかを問うのは、同義反覆的な矛盾である。それ故、民法903条3項の遺留分規定の範囲内で、遺留分の基礎財産を算定するための持戻しを免除することはできないから、持戻免除の意思表示には同条3項によりその効力を有することはない」、「持戻免除の意思表示をしている場合であっても、これを無視し、民法903条1項に定める贈与の価額は民法1030条に定める制限なしに遺留分算定の基礎財産に算入すベきである」と判示しています。

なお、「遺留分の規定は、被相続人の処分の自由を制限するものであるし、遺留分算定のために持戻を行うのに、これを行わない場合の遺留分に反しないかを検討することには矛盾がある(それゆえ、大阪高等裁判所平成11年6月8日判決・判例時報1704号80頁は、遺留分の基礎財産算定において、特別受益に対して持戻免除の意思表示がなされている場合でも、当該贈与の価額を無条件で算入すべきであると判示しているが、相当である。)」としたうえで、「民法1044条は、持戻免除の意思表示が遺留分の規定に反しない範囲でその効力を有すると規定する同法903条3項をも準用しており、遺留分算定の基礎財産の算入においても、遺留分に関する規定に違反しない限度で持戻免除が認められると解する余地もなくはない」と指摘する裁判例(東京地裁平成20年4月14日判決)もあり、持戻免除の意思表示を受けた主体によって結論が異なるのかという点も議論が分かれる可能性があると考えられます。


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