医療法人社団の出資金(持分)払戻請求
医療法人社団の出資金(持分)払戻請求とは
平成19年4月1日に施行された第5次医療法改正前に設立された医療法人社団(※)の社員(出資者)が死亡した場合などに、社員(出資者)の相続人が、医療法人に対して、出資金(持分)の払戻を請求することをいいます。
※平成19年4月1日以前に設立が申請されその後認可された医療法人を含みます。
払戻の対象となる出資持分とは
払戻の対象となる出資持分は、一般的に次のような出資持分です。
- 持分の定めのある医療法人の持分であること(平成23年3月31日現在の医療法人の数は、4万6946法人あり、そのうち4万2586法人は、持分の定めのある医療法人社団です)
- 平成19年4月1日より前に設立された医療法人の持分であること
- 出資者について、除名、死亡、退社などの社員資格喪失原因が発生していること
払戻金額について
払戻金額は、出資の払戻について、医療法人の定款にどのように記載されているかによります。
(定款記載例1)
「 社員資格を喪失した者は、その出資額に応じて払い戻しを請求することができる。」
このような記載がある場合、社員資格を喪失した時点における医療法人の財産の評価額に、その時点における総出資額中のその出資者の出資額が占める割合を乗じて算定される額の返還を請求することができる、との見解を示した最高裁判所判決があります。
例えば、社員資格を喪失した時点における医療法人の財産の評価額が、20億円、その時点における総出資額は2億円で(A氏1億円、B氏5000万円、C氏5000万円をそれぞれ出資)、Cさんが死亡した場合、上記最高裁判所の考えを当てはめると、出資金の返還額は、5億円となります。
(計算式)
20億円×5000万円/2億円=5億円
(医療法人の財産の評価額)×(C氏の出資額)/(総出資額)
(定款記載例2)
「退社した社員は、退社時の本社団の運用財産をその出資額に応じて払い戻しを請求することができる。」
このような記載がある場合には、医療法人の財産評価額は、運用財産のみを対象として算定されることになる可能性が高いと思われます。
(定款記載例3)
「社員資格を喪失した者は、その出資額を限度として、払い戻しを請求することができる。」
このような記載がある場合には、出資者が医療法人に対して「実際に出資した金額」が払い戻しの対象となります。
医療法人の財産の評価額について
医療法人の財産の評価額について、東京高等裁判所平成7年6月14日判決は、社員の出資金返還請求権発生時における客観的な価額により算定すべきとし、土地及び建物については、出資金返還請求権発生時の時価、その余の資産及び負債の額については、出資金返還請求権発生時に最も近い決算期の貸借対照表所の数字を近似値として採用するのが相当であると判断しました。
※土地及び建物の時価とは、帳簿上に記載された額ではなく、一般的には、不動産鑑定士が鑑定した価格を意味します。
弁護士に依頼するメリット
医療法人社団の出資金返還請求に関する問題(調査、交渉、裁判)を医療法人又は出資者(又は相続人)に代わって行います。
虎ノ門パートナーズ法律事務所の強み
- 医療法人の持分のように流動性のない非上場会社の株式の問題を取り扱っています
- 医療法人に対する出資金返還に関するトラブルは、平成22年4月8日の最高裁判決後にクローズアップされた比較的新しい問題です。(それまでは、医療法人の出資者又は相続人は、出資金を限度として払い戻し請求することができるにすぎないとの見解もあり、実際に、上記最高裁判決の原審(第二審)である東京高裁平成20年7月31日判決は、そのような判決を下していました。)上記最高裁判決も、出資金返還請求が権利の濫用に当たり許されないのではないかという点を審理するために、事件を再度、東京高等裁判所に差し戻しており、この問題は極めて流動的な新しい分野であることは間違いありません。当事務所は、これまで、医療法人の持分のように流動性のない非上場会社の株式の問題を取り扱ってきました。医療法人の持ち分の問題が、新しい問題だからこそ、これまでに培ってきたノウハウを活かし、この問題を解決していくことができます。
- グループ内に不動産鑑定士がいます
- 医療法人は、一般的に不動産を所有している場合が多く、医療法人の持分を評価する際には、不動産の時価が問題となります。当事務所には、グループ内に不動産鑑定士がいますので、合理的な不動産評価額を前提にした交渉・裁判を行うことができます。
- グループ内に公認会計士がいます
- 非上場会社の株式を評価する場合、一般的には公認会計士が、様々な考慮要素を取り入れ算定します。現在の裁判例を見る限りにおいては、医療法人の持ち分の評価については、純資産を基準とした比較的単純な方法により評価されているように見受けられますが、今後、非上場会社の株式の評価のように、複雑多岐にわたる評価方法が提唱される可能性は否定できません。このような場合でも、当グループには、公認会計士がいますので、必要に応じて、医療法人の持分の評価額を算定することができます。
※医療法人の持分の評価、不動産鑑定を行う場合には、公認会計士・鑑定士にご依頼いただくことが必要となる場合があります。この場合でも、お客様は、弁護士と不動産鑑定士・公認会計士と同時に打ち合わせを進めることができ、お客様の時間的なコスト・専門家に個別に面談し進捗状況を各専門家にフィードバックする際の「手間」及び「ずれ」を解消することができます。
お気軽にご相談ください。


















